2018.11.09

茨城平屋の家 IBARAKI FLAT

タイトル:IBARAKI FLAT
計画地 :茨城県常総市
主用途 :専用住宅(母屋+附属倉庫)
構 造 :木造平屋建
施 工 :高島建設株式会社
期 間 :2018.11〜2019.8
撮 影 :川島優太/valley
掲 載 :渡辺篤史の建もの探訪
受 賞 :茨城デザインセレクション2022 奨励賞

計画主旨:
計画地は茨城県常総市の郊外、古くからの住人が多く居住する地域の一角にある。申請上の敷地面積は約370坪であるが、南・東・北側に隣接する敷地も建主の所有であり全てを含めると便宜上は約1000坪の計画地となる。とはいえ広い敷地というと豊かな印象を与えるが、住宅に対しての敷地の比率が完全に逸脱した関係にある。また、敷地内(建主所有の隣接地も含む)には既存車庫、駐車スペース、花壇、畑、太陽光設備など、以前から使用していた部分が既設として残った上での計画であり、本来は建て替えの計画であったが、逆説的に土地との調律を合わせる建築となり、世代を横断する建築計画となった。
敷地は南北に抜ける形状である。計画建物は南北軸に対して接道のある南側から順に、倉庫、母屋を正対させながら配置し、土地を間取る形式を取った。また、母屋と倉庫の隣棟間隔を南側の駐車スペース等と北側の太陽光設備に影響しない範囲で最大限隔離し、母屋と倉庫のはざまとなる空地に中庭を入れ込んだ。それにより倉庫を介した南側は、車の流出入や来客等の出入りの都合上パブリック性の高い場となり、対称的に中庭部はプライベート性を保持した家族の場となる。建物の形状については、『広すぎる敷地』から『余裕のある敷地』へと読み替え、水平方向に広がる敷地の豊かさに対して土地の稜線に沿うように平屋建ての形状を採用した。母屋については敷地の東西方向に目一杯広げた長方型とし、南北方向はスパン数を極力抑えることで、平屋建て独特の中央部の暗がりを解消させ、素直に採光を得られる明るい内部を目指した。さらに、土地の特性から母屋を貫く約25mの廊下を嵌め込み、視線や声が抜ける気持ちの良い構成を試みている。外観の構成については、軒の出を1500mmとした南北に吹き下す切妻屋根とし、日射をコントロールする環境装置であると同時に、水平に走る軒先が建物を律する設えとしても機能させており、古くから続く土地柄に対して純粋無垢な姿となるように配慮している。
古谷計画 古谷

 

 

 

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